確定申告という言葉を、聞いたことはあるでしょうか。年明けから春先あたりまで何かと見聞きする機会が多いため、言葉だけは知っている人もいるでしょう。
ですが自分は確定申告をするべきなのか・具体的に何をすればいいのかを、知らない人は少なくありません。
そこでこの記事では、確定申告の概要から具体的なやり方まで解説しました。
チャットレディなど、日ごろ受け取る報酬から税金を引かれていない仕事に就いている人、はぜひお読みください!
<目次>
確定申告とは
この記事でいう確定申告とは、個人に発生する所得税を計算し、国へ納める税金の金額を申告することをいいます。また、計算された税金の支払いも必要です。
発生する所得税は、1年間の売上や収入からそのためにかかった費用である経費を引き、残った金額である所得に税率をかけて計算します。
売上や収入はその名のとおり1年間で稼いだ金額そのものです。
この金額をそのまま使って税金を計算すると考えるところですが、実際は収入を得るためにさまざまな経費がかかっていますよね。チャットレディであれば、事務所までの交通費や動画配信で使用した小物などの購入費、自宅で動画配信をしていたのであればパソコンの通信費などが発生します。このような、収入を得るため・仕事をするためにかかった費用を経費といいます。
確定申告では収入と経費すべてを集計して計算し、残った金額である所得をもとに税金を出します。
この一連の計算や国への報告書類を作成する手続きが、確定申告です。翌年の2月15日から3月15日までに確定申告手続きを完了させ、納税をする必要があります。
確定申告をしない場合のリスク
確定申告は所得税を正しく納めるために欠かせません。
この確定申告を怠るとどうなるのでしょうか。
確定申告をしない場合のリスクについて解説します。
無申告加算税
確定申告をしなかった場合のもっとも大きなリスクが、無申告加算税です。
無申告加算税とは、確定申告の期限までに申告をしなかった場合に発生するペナルティをいいます。その名のとおり申告そのものを怠った場合に発生する追加の税金ですが、罰金のような性質を持つものです。
無申告加算税の税率は以下のとおりです。
支払うべき所得税の金額 | |
---|---|
50万円まで | 50万円を超える部分 |
15% | 20% |
たとえば所得税が75万円であった場合、50万円部分に15パーセントと、50万円を超える部分である25万円部分に20パーセントの税率がかけられ、結果12.5万円の無申告加算税となります。
ただし確定申告の期限後であっても、税務署の調査を受ける前に自分で申告をした場合には納税額の5パーセントで済みます。
延滞税
延滞税とは、税金を期限までに納めなかった場合に発生する追加分の税金です。こちらも罰金のような性質を持ちます。
延滞税は、期日の翌日から納税をするまでの日数で計算されるものです。実際に使われる税率は以下のとおりです。
確定申告の期限経過後 | |
---|---|
2ヶ月以内の場合 | 2ヶ月を超えた場合 |
7.3%/年 | 14.6%/年 |
申告および納税が遅くなればなるほど、延滞税の金額は大きくなります。期日を過ぎてしまったとしても、早めに申告することが大切です。
過去5年、悪質な場合は7年前まで、確定申告は遡られる
確定申告は過去5年分までさかのぼって確認されます。
すなわち過去5年以内の期間に、本来確定申告が必要であったにも関わらず、手続きおよび納税をしていなかった場合には、その分の無申告加算税や延滞税も発生するということです。
確定申告の漏れは税務調査で発覚します。見つからなければバレないという考えを抱くかもしれませんが、調査官は細かいところまでチェックするため、見つかる可能性がかなり高いです。
確定申告については隠そうとせず素直に手続きをするのが一番です。
青色申告と白色申告の違い
確定申告には青色申告の白色申告の二種類があり、それぞれ条件や特典が違うものです。どのような違いがあるかを解説します。
まず青色申告ですが、大きなメリットは65万円の特別控除が受けられることです。経費の額や職業に関わらず、誰でも65万円を収入から引くことができます。簡易的な記録の場合には10万円の特別控除となりますが、いずれにせよ収入から一定額を引くことが可能です。
所得が赤字、すなわち収入よりも経費や控除額のほうが大きいためにマイナス金額となった場合には、その赤字を3年間繰り越すことができます。たとえばその年の所得が50万円の黒字だとしても、前年に20万円の赤字が発生していれば、相殺して30万円の黒字になるのです。
このように恩恵が大きいですが、その分手続きが非常に煩雑です。まず、青色申告をするためにはその年の3月15日までに管轄の税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。
また65万円の特別控除を受けるためには、「複式簿記」という手法でお金の記録をつける必要があります。(お金の記録をつけることを「帳簿付け」といいます)
複式簿記は専門知識が必要な部分もあるため、自分で確定申告をする場合にはやや難易度が高めです。
一方で白色申告の場合には非常にシンプルです。帳簿付けの義務はありますが、出入りした金額とその内容を記録するだけで問題ありません。確定申告も特別な書類は必要なく、「収支内訳書」という書類に売上や経費を記録しておくのみです。
特別控除を受けることはできませんが、手間がかからないため確定申告に対するハードルが低くなります。無理に青色申告をしようとせず、領収書をしっかり集め白色申告で進めるべきでしょう。
青色申告と白色申告の違いまとめ | |
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控除額65万または10万 | 控除額なし |
赤字繰越3年まで | 赤字繰越不可 |
複式簿記 | 単式簿記 |
チャットレディに確定申告が必要なケース
チャットレディに確定申告が必要になるのは、所得が48万円を超える場合です。
ここでのポイントは、基準が所得ということです。すなわち、たとえ年収が600万であったとしても、経費が580万かかっていたとしたら所得は20万円のため、確定申告は不要ということです。
確定申告が必要となる要件として、ほかにも「不動産や株で収入がある場合」「賞金など一時所得がある場合」などがありますが、チャットレディとして直接関わる部分は所得金額のみでしょう。
収入から経費を引いた額が48万円を超える場合には、確定申告が必要であると覚えておきましょう。
チャットレディに確定申告が必要な場合 | |
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所得が48万以上 | |
不動産や株で収入がある場合 | |
賞金など一時所得がある場合 |
所得税の計算方法について
それでは所得税の計算方法について解説します。
これまでお話してきた内容と少し被る部分もありますが、より詳しくお話していきます。
所得を計算する(収入-経費)
最初に収入から経費を引いた所得金額の計算が必要です。収入はチャットレディの仕事で得た金額、経費はチャットレディの仕事のために使った費用をいいます。
チャットレディで得た1年分の収入が500万、経費が200万であった場合の所得は
500万-200万=300万
300万円です。
チャットレディの経費の種類
ここで、チャットレディの経費にどのようなものがあるかを紹介します。
- ネット代やスマホの利用料金
- パソコン
- webカメラやヘッドセットメイク
- 動画配信時に着用した衣装やウィッグなどの小物
- 動画配信のための化粧品や美容院代
- スタジオや事務所までの交通費
- 関係者との食事にかかった費用
- 能力を高めるために購入した本や参加したセミナー代
チャットレディの仕事に直接使用する、ネット料金やパソコン・周辺機器代は当然経費です。
また、動画配信のために特別な衣装や小物を購入したり、売上向上のために見た目を磨いたのであれば、化粧品や美容院代なども経費にできます。
配信場所が自宅以外であればその交通費、関係者との食事にかかった飲食費、チャットレディの仕事に関係する本やセミナー代も経費にすることが可能です。
注意点として、経費にできるものは仕事で使った分のみということです。たとえば、動画配信のために購入した衣装を私服としても使用したのであれば、プライベート部分については経費にできません。
動画配信で3回、プライベートで7回着用した場合には購入額の30パーセントが経費となります。
課税取得を計算する(所得-控除)
収入から経費を引いた額が計算できたら、さらに控除できる金額を引いていきます。
控除できる金額とは、生命保険料や地震保険料などです。医療費が大きい場合にも控除対象となります。
収入から経費を引いた所得に税率をかけるのではなく、そこからさらに控除額を引いて最終的な所得を出します。
所得税を計算する(課税所得×所得税率-税額控除)
課税所得(税金計算に使用する所得の額)が算出されたら、いよいよ所得税の計算です。
課税所得に所得税率をかけ、そこからさらに税額控除を引いた金額が所得税となります。税額控除とは税金から直接引くことのできる金額で、住宅ローン控除額などが当てはまります。
使用する所得税率は、課税所得の金額によって異なるため、税務署のホームページなどで使用する税率をチェックしましょう。
住民税は確定申告を行えば自動的に確定する
確定申告で計算および納税をするのは所得税ですが、この手続きで金額が決まる税金がもうひとつあります。それが住民税です。
所得税の納税先は国である一方、住民税の納付先は市区町村などの自治体であるため、一見すると別で手続きが必要なように思われるでしょう。
しかし実際は、所得税確定申告の内容が税務署から自治体へ連絡されるため、住民税の申告手続きは不要です。
住民税の納税は自治体から送付される納付書を使用しておこなうため、確定申告に住民税も一緒に納める必要もありません。
確定申告書の作成の流れ
それでは、確定申告書作成の具体的な流れについて解説します。
手順やポイントさえ押さえれば決して難しくありません。
入出金の帳簿付け
まずは領収書や収入の支払通知書などをもとに、帳簿付けをおこないます。様式に指定は特にないので、エクセルやルーズリーフなどでも問題ありません。無料の家計簿アプリ、有料ですが確定申告ソフトを使用するのもおすすめです。
取引の日付・店舗や支払先の名称・飲食費など使用目的・金額を記録します。
収支内訳書の作成
帳簿付けが完了したら、収支内訳書を作成に移ります。特に難しいことはなく、帳簿に記録した各取引を項目ごとにまとめ収支内訳書に記録するだけで大丈夫です。
こちらを記入することで、収入合計および経費合計が算出されます。
確定申告書を作成する
収入と経費の合計額が出たら、確定申告書に転記します。確定申告書はAとBの二種類がありますが、チャットレディの人が使用するのは確定申告書Bです。
確定申告書は2ページ構成となっており、1ページ目に収入や所得の額を、2ページ目に所得の内訳やその他必要情報を記入します。
まずは一番上に氏名や職業・個人番号などの記入が必要ですので、忘れないうちに漏れなく記入しましょう。
収入金額の欄に収入額の合計、所得金額の欄に収入から経費を引いた所得の額を記入します。
その下に保険料控除に関する欄があるのでそちらも埋めていきます。そのほかふるさと納税(寄付金)や医療費など、控除対象となる支出があれば記入が必要です。
そこまで終わったら隣の一番上の欄に移り、税金の計算欄を記入しましょう。所得金額の合計から、所得から差し引かれる金額の合計を引いたものを一番上の欄に記載、住宅ローンなどを差し引いて最後に源泉徴収税額を記入します。繰り返しになりますが、使用する税率は所得によって異なりますので税務署のホームページなどで確認しましょう。
2ページ目は項目に沿って必要事項を記入するのみですので特に難しい点はありません。
難しい問題も、チャットレディ事務所なら気軽に相談可能!
確定申告は正しいやり方を把握し、ポイントさえ押さえれば問題なく進められますが、最初のうちは戸惑う場面も多いでしょう。専門知識がないと難しいと感じる場面もあるはずです。
わからないままに進めて金額を誤ってしまうと追徴課税や延滞税が発生する場合もあります。不明な点をそのままにせず、人に相談して解決させるべきです。
チャットレディ事務所であれば、確定申告に関する相談にも親身に対応します。確定申告で何かお困りのことがあれば、気軽にチャットレディ事務所へご相談ください!